ビジネスメールや文書を複数の取引先に一括で送る際には、「お取引先各位」という表現を用いることがあります。
この表現を使うことで、複数の相手に対する敬意と配慮を簡潔に伝えることができるのでとても便利な文言です。
「お取引先各位」は、複数の取引先の関係者全体を指し、正しい敬称として使われます。
ただし、「取引先様各位」や「取引先各位様」という言い方は誤用であるため注意が必要です。
この記事では「お取引先各位」の意味やビジネスシーンでの使用例、また合わせて使われることが多いメールの「BCC」のマナーについても解説します。
「お取引先各位」は失礼にならないか?使用シーンと意味の解説
「お取引先各位」の使用は、相手に対して失礼にあたることはありません。
「各位」という言葉は、複数の受信者に対して一人一人に敬意を示す、温かみのある表現です。
「お取引先」は取引関係にある相手を礼儀正しく指し、「各位」は「○○の皆様」と同様に使用されます。
よってこの表現を使うことで、複数の取引先に対して敬意を表すことができます。
すべての取引先の名前を個別に挙げるのは非効率的であり、長い宛名は受け取る側にとって読みにくいです。
そのため、全員を「各位」と表記することは、受け取る側に配慮されていると言えます。
さらに、取引先に上司や目上の人が含まれている場合にも使用でき、より一層の敬意を示す場合は「御取引先各位」と書くことが良いでしょう。
「各位」という言葉だけで敬意を表すことができる点を覚えておくと便利です。
ビジネスメールにおける「お取引先各位」の正しい使い方と注意点
「お取引先各位」という表現は、複数の取引先へ同時にメールを送る際に有用です。
この表現を使う際に注意すべき点を3つ紹介します。
複数の宛先に限定
この表現は、単独の個人や企業宛てのメールには不適切です。
3人以上の複数の宛先に対して使うことが適しており、「皆様」と同義です。
二重敬語の回避
注意点の一つとして、「お取引先様各位」や「お取引先各位様」のような誤った表現を避けることが挙げられます。
「各位」自体が既に敬語なので、前後に「様」を付ける必要はありません。
郵便物の宛名には向かない
また、「お取引先各位」は郵便物の宛名には不適切です。
郵便での宛名にはこの表現を使用しないよう注意しましょう。
「お取引先各位」を使ったビジネスメールの効果的な例文
ビジネスメールで「お取引先各位」を効果的に使う方法を紹介します。
メールの冒頭で次のように記載します。
お取引先各位
いつも格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございます。
その後、特定の人物を指名する場合は「お取引先各位」を使用して本文に入ります。
以下に具体的な例文を示します。
- 皆様には常にお健やかにご活動されていることと存じます。
- 最近の不手際について、心からお詫び申し上げます。
- 今後とも皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
このように「お取引先各位」と記述することで、メールは礼儀正しい印象を与えることができます。
また、「お取引先の皆様」という表現もあります。
これはより親しみやすいニュアンスを持ちますので、メールの内容や取引先との関係に応じて選ぶと良いでしょう。
ビジネスメールにおけるBCCの利用マナー
ビジネスシーンで複数名の方にメールを送る際に「お取引様各位」に合わせて、「BCC」機能を良く使います。
よって、BCCを使うべきシーンや注意点についてもまとめます。
BCCの適切な使い方
BCC機能は、受信者同士が互いのメールアドレスを知ることなく、プライバシーを保持するために使われます。
特に多数に情報を配信する際や受信者のプライバシー保護が必要な時に便利です。
しかし、ビジネスの場で透明性も求められるため、BCCの使用には慎重さが求められます。
例を3つ挙げます。
契約交渉中のメール
取引先との契約交渉中に、交渉内容を社内の関係者に伝えるためにBCCを使用する場合、この情報が取引先に知られた場合、信頼を損ねる原因となり得ます。
取引先は交渉が透明でオープンなものであると信じているため、BCCによる情報の秘匿は疑念を招くことも考えられます。
クライアントのフィードバック共有
クライアントからのポジティブなフィードバックを受けた際に、社内の複数の部門にその情報を広めるためにBCCを用いると、もしそれがクライアントに露見した場合、クライアントは自分の意見が内密に扱われていると感じ、不快に思うかもしれません。
公開されても問題ない場合を除いて、フィードバックはオープンに共有するべきと考えます。
情報漏洩のリスク
敏感な情報や商業秘密を含むメールを送る際に、関係者以外の社内メンバーをBCCに加えると、誤って情報が外部に漏れる可能性が高まります。
BCCを用いた場合、受取人が誰であるかを正確に把握しづらくなるため、情報管理が難しくなるというデメリットがあることも覚えておきましょう。
BCC使用の透明化
メールでBCCを使う際には、なぜ受信者リストを非公開にするのかその理由を本文中で説明することが望ましいです。
例えば、広範囲に迅速に情報提供する必要がある場合など、受信者に理由を明確に伝えることで誤解を避けることができます。
この場合の例文は、以下の通りです。
広範囲の連絡の場合
機密性の保持が必要な案件での通知の場合
返信対応の事前準備
BCCでメールを送ると、返信が個別に届くため準備しておきましょう。
また、BCCを使用することで生じる可能性のある誤解や不信感に対処できるよう、計画を立てておくべきです。
そして、同じ取引先に何度かメールする場合、「何度も申し訳ございません」と使っていませんか?
このフレーズを頻繁に使うと、相手に悪い印象を与えかねません。
取引先などにメールをする機会が多い方は以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ
「お取引先各位」という表現は、複数の関係者に同時にメールや文書を送る際に使われます。
この敬称は「皆様」と同意で、受信者一人一人への敬意を示すことができます。
「各位」と「皆様」を送信する相手やメールの内容に応じて適切に使い分けるとよいでしょう。
正確な言葉の意味を理解し、適切に使用することで、相手に礼儀正しい印象を与えることができます。
それに合わせて「BCC」を使って宛先を設定する場合は、それを利用する目的や注意点もしっかり意識して使いましょう。