署名と記名・押印と捺印の違いは？委任状は手書き必須なの？

署名と記名、押印と捺印のそれぞれの特徴ついて、具体的に解説します。

これらの用語は日常生活のさまざまな場面で使われますが、その違いを明確に理解するのは容易ではありません。

この記事では、これらの用語の違いについても詳しく述べます。

さらに、役所などで必要とされる委任状がなぜ手書きでなければならないのかについても説明します。

一般的な記名押印と署名捺印の使用法

記名と署名、押印と捺印は似ていますが、通常、「記名押印」と「署名捺印」が一般的な組み合わせです。

ビジネス文書においては「記名捺印」という形式もありますが、これも一般的な方法の一つです。

【記名押印】
氏名や会社名を記入し、印鑑を押す行為を指します。【署名捺印】
氏名や会社名を自筆で記入し、その上に印鑑を押します。

署名は自筆で氏名や会社名を記入する行為を指し、記名は印刷やスタンプを使用する場合があります。

自筆の署名は、文書への個人の明確な意思表示とされ、高い証拠力があります。

署名には文書への同意を示す直接的な証拠が含まれており、筆跡を鑑定することが可能です。

これに対し、印刷やスタンプは他人が行う可能性があり、同意の証拠としての力は低くなります。

ビジネスの場では、代表者が文書に自筆で署名し、公印を押すことが一般的ですが、効率を考慮して記名（印刷やスタンプ）を使用することもあります。

捺印と押印は、日常的に使われる印鑑を使う行為で、どちらも似たような目的で使用されますが、通常は使い分けられています。

元々「署名捺印」と呼ばれていた捺印は、自筆の署名に印鑑を押す行為を指します。

特にビジネス文書などで、公式な認可や承認の意を示す際に使われることがあります。

押印は「記名押印」から派生した用語で、氏名や会社名が印刷、スタンプ、または代筆によって記載された後に印鑑を押すことを意味します。

手続きで代理人を指定する場合、委任状が必要になることがよくあります。

特に、異なる世帯からの代理を立てる際には、委任状が求められます。

かつてはパソコンで作成した委任状も広く受け入れられていましたが、近年はより厳格なチェックが行われるようになり、自筆で署名した署名捺印が明確にされた委任状でなければ受け入れられないケースが増えています。

これは、委任状が本人によって意図されたものであるかどうかを確認するためです。

市区町村によっては、委任状の取り扱いや必要な書式に違いがありますが、一般的には委任者が自筆で署名し、押印すること、そして代理人が身分証明書を提示することが求められます。

パソコンで作成した委任状が受け入れられない事例があり、直接本人が作成した委任状の重要性が明確になっています。

委任状を作成する際に本人の同意がない場合や、他人が署名を代行することは基本的にNGです。どうしても本人の直筆が難しい場合は、委任状の提出先に相談しましょう。

公的文書で「記名押印に代わって、自筆の署名が認められる」と記載されていることがあります。

これは署名が押印よりも証拠力が高いため、署名だけで充分とされる場合があるためです。

記名押印が許可されていても、署名をする際には印鑑を押す必要がありません。

公的機関では、運転免許証や保険証の提示で本人確認が行われ、それが署名が本人によるものであることの証明となります。

日本では長い間、ハンコ文化が定着していましたが、署名による証明の法的効力が高いため、押印が不要とされる場合が増えています。

特に「脱ハンコ」や「ハンコレス」の取り組みが進んでおり、多くの場面で署名のみで済むようになっています。

しかし、戸籍のような重要な文書では、今でも署名に加えて捺印が求められることがあります。

詳しくは提出先に相談しましょう。